上の家の前代当主・高橋清一及びその妻レンについて

本名 宇津木健  通称 増田

実家たる宇津木系の家は天下の善仁右衛門の縁者でもあった。

妻は、それこそ善仁右衛門家そのものの最後の善仁右衛門子孫であった。

その時すでに父も姉兄弟もすっかり外来子で取り揃えられていた時に。
そうして、お前は家の中にいる者でない、と子供の時から野良働き、金稼ぎに出されていたものだといわれている。
幼児苛めが過ぎて、ある時は、その男を死刑に処してしまえ、と部落の人が立ち上がったことがあったという。
その時に一人手を挙げて止めに入った者がいて、沙汰止み。
大きな理由は、じゃ誰が善仁右衛門の大借金を背負いに入るというのか、ということ。