いろいろなエピソード


海浜の砂原で流木に座っていた若者達が何かのインタビューを受けていたようである。
ある晴れた日の海を渡って陸に上った朝のことであろうか。
カワラヒナのように歌った若者がいたのではないか。
何が好きか、と訊かれたのだろうか。
それに答えないで、ミョンと書いた者がいたようである。
病気の痕が残っている顔を指していたのだろうと思う。
顔を見て、というようなサインであったろうか。
すると、相手は字を読めない人で、日本語でも使って話しかけていたのだろうか。
つら、と言って人の容貌を嘲る表現に出くわすことがある。
ある時何ということもなく、砂原に、命、という文字を書いたことがあったが、この字も、ミョンと書くのである。
麺、と読んで、うどん好き、と言われることもある。
面食い、という言葉があるが、古くからの言い回しであろうか。


男が少年として最初に勤めたところは、門前町の店家であったという話がある。
その家の娘と一緒にさせる目当てもあったというのだから、ゆくゆくはその店を受け継ぐ婿になることで、その家の手伝いに入ったのかもしれない。
送ったほうの家の主人が、あれは無駄になってしまうのだ、と予言的な発言をしていたという。
小物を勝手に収集していて懲らしめられたことがあったと、何かのノートに記されているという。
ここではあまり良いこともなく立ち去ったのであろう。


山中の生活について言えば、もっと楽な身過ぎの仕方というものは、何でもやる気なら他にいくらでもあったろう。
無理な荷物を背負わされたということであろう。