あんど運動がいかに軽々と


人を運ぶ世の中か。
たとえば、本当かは分からないが、ある日の大リーグの中継でたまたま眼にした、白人打者と黒人投手の対決が、フォークナーの子孫と、彼の小説の登場人物のモデルとなった黒人の子孫との出会いであったとか、と教えられる。
地下組織に寄せ集められたコレクションのような世の中であろうから、紹介されたら例外なく何かと何かの出会いの秘密が潜んでいるに違いない。
それを自ら企みしっかり知り尽くしている神様だけが、面白おかしく眺められる世間なのである。
私達もいくらかそのあや織りの妙に気づかせてもらうこともあるが、そのすべてを知ることはあり得ることではあるまい。