上の家の者に掛けられた西郷隆盛伝説


 仕事内容のことよりもルーツの意味で言うのであるらしい。西郷隆盛になれないこともなかったような素質の並び方であった。
 二武士注入はあったが以後百五十年の長きに亙って、上の家の長男は恥をかくために生まれてきて人と並ぶこともなく亡くなってきた。腑抜け、腰抜け、臆病、人に好かれないことこの上ない。重病人の家とはこのことである。男が立たない。
 年中ピーピー。この期に及んで肝心要の弟に学費さえ出せない。大本の資源がない。下着に継ぎ接ぎまでしてがんばった父母であるが、甲斐性の無さに情けなく思っていたであろう。働くばかりが人生か。花見も祭りもない。恥も世間も知らずにたった一人金欠病で出てきた奴がいる。ひとみれごどよ。父親を「恥知らず」という呼び方があったらしい。真意は貧乏会わせる顔がない、という意味であったと思われる。そうして皆亡くなってしまった。


 二武士の遺伝子有るある無しに関わらず、武士の肝を抜かれていつまでもタイム中の長男の家、という呪いに押し伏せられてきた家であったようだ。