1970年に過去最悪数16,765人を記録している

 その後1974年に激減している。 以後の死者数減少前進への転回点となった年と思われる。 これだけの激減率を見せている年は以前にも以後にもない。
 どういう訳か、この年の現象とその画期的であることについての指摘、説明をあまり眼にしたことがない。 2000年以後の法令の厳罰化の効果は確かな事で、よく説明に出される。
 2006年の世界各国の死者率のグラフから概算すると、16,765人は愚か、16,000人前後の死者数というものは、何と文句なしに、先進国中最高の米国を抜いて世界一である。 規則正しい国民性からはなかなか信じがたい事である。 何が理由であったろうか。 交通行政も不十分なまま、全道路距離の割合に車の数が激増したことが大きかったのかもしれない。 しかしイタリアの1.5倍、フランス、ドイツの2倍、イギリスの3倍位の人数である。(各国の人数変動を考慮しない概算であるが。)
 それが何の対策が働いて1974年に、一万人近くにまで数を減らしたのであろうか。 分析を聞かされた事がない。 
 1996年以後死者数はほぼ減少の一途を辿り、昨年度に及ぶまで減り続けてきた。 見事な驀進である。 毎年一万人位の人間の命を救っていることになる。 30年間の警察行政努力によって、凡そ三十万人の生命が助かってきた事になろう。
 五年ぐらい前に、交通事故死亡者数についてその原因についていささか邪推的に取り上げた事があった。 しかし、とにかく人数は半減している、かつて世界最悪に死亡事故者率大の国が、このような進展では今度は逆に、死亡者率小によって世界最高の安全国の冠を戴くのも目前のようである。 その方が日本人の人柄に相応しい、日本人得意の自然な事ではないか。
 最強のライバルは英国であった。 2006年の時点では、実数300人位の差で英国に遅れを取っているようであるが、現状では間違いなくトップの位に上っているものと思われる。 昨年の事故死者数5155人、前年より589人、10.3%の減少。