子持ちトナカイを妊婦と読み違える悪戯と似たような事件をいくつか挙げてみたい。

 「芸子さんに上げる金ないか」 「四銭あるな」 
 この四銭が恐らくカタカナかローマ字で、ヨンセン、あるいは yonsen とメモされているのであろう。
 これを最低に悪読みして、四センチあるな、と子供の性器を木コで計っている不良ふしだら場面に探偵されてしまったようである。
 自らの趣向以外に何の根拠もない、この未成年的解釈を言い訳にして、幼児子供が何か計るみたいな所に頼まれる応酬制度が捻出されたものと思われる。
 何にも悪くない、ただ芸子さん気の毒だから、四銭上げて帰してやろうと言って登場した村人の関係者に、専門にその制度が押し付けられていたようだという話があったが、本当か。
 本人が不道徳であることでないから、実際は何にもないに等しい対応であったと聞かされることがあった。
 幼児売春みたいな事を演出したがる特徴がある。
 上の家に上がった者の先祖が、子供弱い者にして攫って食べていたのではないかという嫌疑を掛けられて、警察の調書辺りに書き残されているらしい。
 営業で歩いていて子供に道を聞いていた所を見掛けた、市民の情報に基づくものであったと思われる。 それは全くの邪推であった。
 ところで、その子供が大きくなって九州を離れ、東北の鉱山に勤めていて、何と上の家の叔母と結婚することになり、その後その子孫が離れないように近くに住まわれているというのである。
 本人は無自覚な運命の運びであったのかもしれない。
 とにかく上の家の者は子供を襲わないよ、子供を食べる業悪人でないことは証人するよ、安心だよという好意的サインの結縁仕業であったようだ。
 「ハナ (嫁の名前) 来る、ハナ来る。 なんじょする(どうしたらいい?)」 というのは上記芸子さんをスパイと間違えて縛した村人達の困惑の声のメモであったようだが、それを悪く解釈して、「ハナ食、ハナ食」 「押入れ (納所) でする」 という風に最悪の不良場面に解釈して、以後の日本国土の悪戯運動の口実とするのである。
 ところで女性をスバイ視して本気で掛かるというのは、真実があってのことだったのである。 日本人家族を返す返すも滅ぼして来たもんだぞ、物知らねな、お前等。 ホラ見ろ、言ったように今もそっくり家族丸ごと食べられているではないか。 と土の下で自分の国防的戦い振りに大納得していることと思われる。
 この時はまだ、この集落に日本人を襲い喰らうスパイ団は現れていなかったのである。
 もう一つ、慶喜公から拝一刀したことについて。
 二条城では、相手は旧道神社の単なる本家農家に過ぎないことを明らかに見知っていた事であり、位を授けるとか襲名させる、とかということは一切ない御用意であったはずである。 京都から武士団まで出発させてはいたのである。
 それを、組織は襲名問題に取り替えてしまったところがあるようである。 村人達も仕向けられただけの事であったろう。 てんぼう襲名儀式のヤクザ映画があった。 よしのぶという命名まで突っ込まれていたようである。 どこにも襲名する用意でいた人はいなかった。
 拝一刀の真実は、「天保」 の目明し頼むぞ、百姓位で大丈夫か、ということ以上のものではなかったのである。 
 以上は、「余所に」 最低の悪者がいたことにして、人の世に最低の悪行を印し記録させようという魂胆の仕事であったろう、という探偵決定である。