「こんなに長い間外国人居住者に苛められ続けてきて、ウンもスンもなく死んでしまうのか。」

 小野寺氏はたまげていたのであろう。
 昔、上の家は北上市の本家のような古い家なのだ、あんた方は他所から上がって来て社長さんじゃないか、今度は上の家が出るのだぞ、と近隣の人達に向って言われたことがあったという。
 それで、小野寺さんは日本一の美人、という折り紙があったのである。 日本人の順番正しいことを並み居る中で勇気を持って言われる、天晴れ、と。 この折り紙の意味を勘違いしている人がいないか。
 その後小野寺さんの声は低くなり、呂律が回らなくなる。 芝桜の管理の世間、口を抑えられてしまったものと疑っている。
 K市内のある世間では、上の家は極めて軽蔑され、異物視される家と成り果てていた。
 しかしどうしたって、上の家は国道沿いの神社旧家であり、彼らはどこかの日本人を踏んできたような外国人なのである。
 写真に写っているのは、逃げないな、逃げなければある、と最後まで期待していたという、小野寺さんの気持ちを示しているような南天の木の花である。