日本のメッキ工場風景推理小説  日本はホワイトカラーポストを厳しい改善提案対象一部門と為し、生産性において欧米諸国と並び得るか。

 メッキ工場は汚い危険キツイプラス臭いの、一等末端職場である。
 ここから探り出されるべきものは、地下差別社会日本国の被差別国民タイプなのではなかろうか。
 メッキ工場と言えど、一課二課三課とあり、すべてが地獄の釜の蓋を開けたような恐ろしい現場ばかりではない。
 一課は、大きな籠のボタン操作と金属品の出し入れが専らの仕事で、二課の者に言わせれば茶話会職場のようなもので、かなりの落差で二課の仕事と比べると楽である。
 二課の仕事はすべて手作業手洗いの要る水仕事である。 骨が折れてしまうような重労働現場である。 臭いのする危険な液、高温の液に焼かれないよう前掛け長靴の重装備で、重い金属を籠に入れて歩き回り、一日中汗を流していなければならない。
 この工場の工員を全部出すか、という言葉がある。 何と皆元武士の一脈ある者ばかりではないかというのである。 元和賀氏、元幕吏、元浅沼氏、小野寺氏、沢内古武士等の子孫の方がおられたのかもしれないが、社長、係長の場合何かの聞き間違いであったのかもしれない。 危険な肉体労働現場に忍耐して勤めるまでにはいろいろな人生の流れがあったに違いない。 女性問題理由で、地下組織ワークに運ばれて来た人達ばかりではないか、という観測もあったらしい。 側には天下の東芝があり、富士通がある。 (地元民の待遇状況はどのようであろうか。) 兄の為に組織契約の積りで、自らメッキ工場を選んだという若者もいた。 湯田町桂子沢子孫、そして鹿児島子孫ということで運ばれていた例が最も多かったのかもしれない。
 地下組織内異分子化活動契約というものがある。 加治屋家グループでも菅原サングループでも、桂子沢古グループの担当を引き受けていた人がいたそうであるが、例外なくこのような代表員が出ることによって、他のグループ仲間の発展が保証されているのである。
 新陳代謝契約と呼ぶべきものであろう。
 北海道でも、桂小沢古グループを追放して、新しい分家子孫グループなりが、進学ルートを我が物にしているようだという情報があった。
 メッキ工場現場雇用者内容においても、一連の契約地下仕事の結果が示されていたのかもしれない。
 以上メッキ工場の場合特殊過ぎるのかもしれないが、職場でさえ多人数の地下組織子孫社会の何かしらの選別置き場のような世の中であるから、ホワイトカラーとブルーカラーの並列的原理による経営革命というものは、日本ではかなり難しいことなのかもしれない。
 なおこの工場では、間接部門も改善提案義務を負って等しく追及されていたので、ドイツの並列的労働精神はある程度実践されていたものと思われる。