消費税について発言させていただきたい。

 新聞記事にもテレビ解説番組にも耳目にしたことのない驚くべき事実があって、この初歩的知識をどうして誰も口にしないのか不思議である。 おもんばかりがあるという場合なら、何のための深謀遠慮であるのか。
 日本は世界でも珍しい程消費税率の低い国である。 随分と低い。 日本と並ぶ国それより低い国といえば、アジアの何ヵ国しかない。 
 しかし日本は税金の安い国であろうか。 社会保険料を加えて実際はほぼ西欧の福祉諸国と並ぶ高税率の国である、という評価がある。
 その実態を認知しないで、単純に消費税率を上げていくというのなら、一般国民は悲鳴を上げてしまうであろう。 西欧諸国の消費税には、一種の社会主義的富裕税奢侈税の実質を成しているものがあると言われている。 つまり一般国民が有する基本的人権の最低限たる生存権は侵さるべきでない。 
 パンと牛乳には一パーセントたりとも税金を掛けない。 そのような課税の仕方であるから、国民は眼の飛び出るような高率の消費税に納得しているのではなかろうか。
 上述の配慮あってこそ、消費税は公正社会の実現においても有効な国家経営の手段となり得るのであり、すでに保険料の安くない日本において実現可能な増税目標となるのであって、単純に西欧の税率をめざすべきでないと強調させていただきたい。