精一は、養父の指物大工手伝いに毎日のように鑿を手にしていた。

 小学校にも中学校にも行きたがらない引き籠り少年であったという。
 玄関先で、使い慣れたその鑿を手にして、五寸釘で中学生のズボンを引き裂く暴漢男を刺し殺す。 「イタタタタタ」 しばらく男の腹の辺りを撫でていたという。
 母親縁の山本の者も出て来て、「(逃げないで)警察に捕まればいいのだ」 と子供の将来を計る発言をしていたという。