世界計画はなかなか骨太な構成のものであった。 

 Once upon a time という言葉があるが、一度やったらもう二度とはやらないという、最初の決定を守って揺るぎない。 もはや文豪も哲学者も作曲家も画家もなきが同然である。 組織の力がなくなったというのではない。 もう終わったのである。 Only yesterday である。 
 一度きりと言っても、ドイツイデオロギー計画であれ、世界文学山脈嶺計画であれ、また仏西名画シリーズ並びにクラシック四季計画であれ、100年以上もの長期に渡る力仕事であって、人類史永遠の最高峰たるべき野心家の業であった。 
 その都度思い付きで始めるような、無限定なものではなかった。 最初から最後まで一個の組み立て物のように設計され予定された、有期限の世界史土木労働であった。 始末は初めからの志であった。