再び村上の者についていえば、少しも偉い所がない。

占いに引っ掛けた者だという、原点武蔵のこころを言えば、にゃっ、うまい飯食ってなり上がって、と言うぐらいの程度であろう。
実は、集落関係者が東京辺りに「雄飛」して、「馬鹿にならない」ほどの有名人実力者がそろいつつあることを、武蔵は知らなかったのである。
村上の家から直接出て、出世したといわれるほどの者は、代々一人もいない。
「パー値」の者だという表現があるが、一般に遅れた、片輪な低空飛行ばかりである。
何にも自分達は他所の家に痛い事はなかった。
そして振り返ると、ずっと自分達ばかりだった、痛かったのは。
皆笑ってきたものだ、馬鹿にして、やすめて。
「本当だなや」
人を押しのけて偉くなるなど、とんでもないおとなしい人たちばかりである。


日本国全土の事をいうのだが、たまげて呆れたプレゼントえこひいき社会である。
一方、こんなもの、と日本人としての戸籍をゴミ紙のように振る潔癖な人もいることはいる。
そして、これじゃ自分達あまりに星じゃないか、と言ったものなのよ、と語ってくれる人もいる。