1338年から1453年までの英仏百年戦争があった時代

 コムューン発祥の地、オランダ、ベルギーは北イタリアと並ぶ都市勢力地域であり、商業と羊毛織物業で古くから経済、文化の中心であった。
 ヴァン・アイク兄弟の絵は、前人未踏懸隔の、また後に続く者がない程に完成された、人物自然写生画の驚異的出現であった。 「発明」であると共に「完成」である如く、まったく新しい真実の自然の姿が鏡に映されたように画面に登場する。 兄、-1426, 弟、1441。 弟ヤンはブルゴーニュ公フィリップ・ル・ボンに召され、画家として、また廷臣として死ぬまで仕えた。 フィリップ公とポルトガル王女との婚姻のための交渉使節に加わり、リスボンに行き、王女の肖像を描いている。
 このブルゴーニュ公とその王妃との孫娘の子がフィリップ美男公であり、そのネーデルランド育ちのフィリッブ美公の息子がかの有名な神聖ローマ帝国皇帝カール5世その人である。 百年戦争時一貫して英国側に付いたフィリップ公領は、百年戦争の時期と少し送れて、国王を凌ぐ勢力の一時期を持つ。 ネーデルランドを握っている経済力ばかりでなく、文化的にも西ヨーロッパ文明の1中心地となっていた。 ブルゴーニュ公達は激しく戦ったようであるが、その夢は神聖ローマ帝国の皇帝となる事であったと思われる。 カール5世の世になって、その夢が華々しく実現されたと言えようか。