コロンボ警部は延々と、昭和39年菅原村の村田氏疑惑を推理捜査している。

 コロンボ警部の推理捜査の対象は変わることなく、村外れの安氏に掛けられている。 ドラマの結構はそれを脱することはない。
 疑いは径行タイプのいい村田氏にはなく、ナポレオン・ソロのような西洋人と二人乗りのタンデムに向けられる。 健康な30代の男を無理やり脳卒中に打ち倒す技術は組織の派遣スタッフに限られる。 やはりここにタンデムがあった、ということであったらしい。 (ナポレオン・ソロ事件)
 ところが一昨日の客観的調査によると、どうしてもそのタンデムでは眼が見えていなかった、本当に安氏はその事件に立ち合っていなかったという結論に至ったようである。 からかったような感じもするが、安氏は嘘を吐いていなかった。
 すると村田氏に再度疑惑が掛かるのであるが、これについては、隣家では納得のいく発見があって決着していたようである。 奮闘努力の生活、今ボロは着てても清水を汲み上げる井戸の明日があるかもしれない、ガスっているようだが、涼しい涼しい、そんなところだよ世の中、そうじゃないかい皆の衆、と一切を語ったことがあったと信じられなくもない。
 隣家の発見というのは、知れた地下ばかりでなく、もう一つ怪しい地下脈が通っていたのを見つけた、ということである。 これは代々、上の家付き物の、透明人間用、男取りトンネルとでもいうようなものであった。 今そのような完璧な男取り軌道活動は廃止されている。
 お父さんは嘘を吐いてこっそりと鉄砲を撃つような事はしていなかった。 これで、昔からの不思議な疑惑が晴れたことになる。 お父さんは、顔を向けるも御免したいような小さい小屋ではあるが、そこは清水の湧く井戸と考えていたのだ。
 イメージ通りに裏も表もない正直な村田さんであった。
 (ところが、更に、設備をよく検めてみた調査班からの報告があった。 一頃磁気布団という馬鹿に値の高い寝具が売り出されていて、評判になっていたことがあった。 これは事件に使われた地下設備をヒントにして作られた製品であったと思われる。 このような設備が球場の照明設備のように張り広げられていたという。 何の用途の設備であったろうか。 何処の差し金で設計され、製造され、据え付けられた設備であったろうか。 透明人間用という奇妙な言い立てと共にあるのであれば、一般設備の応用使用ということはなかったと思われる。 事件のためだけに製造され置かれた特殊な設備であったと思われる。 設備がある限りの、企画され用意された事件であったと言えよう。 結局村田さんが密かに頼まれていた、という結論になるようである。 毎晩の寝所近くの設備勤務がなければできないことで、発見された地下脈では不可能であるという報告であった。 ‐それから遥か後の世の、評判の磁気布団というものは、高価なばかりの偽物健康商品とは言えないようである。 点支えは血行を妨げず圧迫感が少ない、寝返りがスムーズにできるという利点の他、湿気が逃げやすく、いつもさらさらの肌触りが保たれ、また耐久性にも優れている、という健康商品たる複数の実があることを教わることがあった。‐ この世に登場できないタイム中の人間とは、病気でない限り、透明人間でなければ勤まらない。 どうせこの世はそんなとこそおうじゃないかい皆の衆。 と引き上げた村田氏であった。)