集落では組織活動反対のレジスタンスが何世代にも渡って続いていた。 

隅角のように鼻柱が角張っている顔、眉毛が極度に垂れ下がった顔、玉玉のようにまん丸い顔、これらは皆江戸時代のレジスタンスを記念して、満州地から探し求められ、集落に寄せ集められた顔容なのである。 
 銭形平次みたいな練玉投げの人の顔に迫ってみると、もはや泣き顔のような一所懸命ではないか。 悲願という文字が額の皺となって浮かんでいるようである。 (グラウンドにモノを散らかす薬玉破りという文化も、このレジスタンス努力を表彰しているものなのかもしれない。) 
 この悲願人の顔の特徴も、満州地から集落に運ばれ、それも当のレジスタンスの家に入ったのはいくらか後の事である。 (水脹れ溺死人の蘇りという移民計画もあったようである。)
 I got it ! と言われて捕まったのは、その分家の家の主人であった。 以後、尻尾を捕まえられたネズミみたいに言われることとなる。 この間のおじいさんの名前が忠であり、その奥さんが色黒で小顔なのも、レジスタンス発覚時の因縁を忍ばせているのかもしれない。