無情帯刀無我の口

 路上無双―――二人でいられない。 誇り高い帯刀無我自ら道を外したというのであった。
 無比―――ばい菌退治の皮膚科薬品の名にムヒというのがあった。
 無双無比発言から路上無敵、国道無敵という強そうな名が大陸に向かって発信されたものと推理される。
 おかげで、渡辺剣とか西郷照彦とか高橋秀樹とか八代秋とかの彫の深い美男美女スターのいる世の中に出会えているのかもしれない。
 ああそういえば、彼の万沙子様も、無敵が泣いているというので麓部から舞い降りられた天下の美形の一人なのかもしれない。
 上の家の前任者が終い湯とは恐ろしい、と言って飛び出した事情も以上の事によって知れるのである。 最後に一人とは生きていられない。 必ずや悪臭を発せられて、人も寄り付かなくなる目に遭わされるであろう。 一人たりとも発症中でいない者はいなかった。 そして先輩として気を吐いた一日もなく、人と立ち並ぶ喜びも知らずに、見事にうつ伏し死にを続けて来たのである。