運動員は中国人であったが、国家を裏切る者でもなく、国の物を盗み運ぶ密輸入者でもなかった。

 いわば個人契約に基づいた地下組織依頼の荷物運搬人、玄人仕事担当者であった。
 国家としては呉の国が契約者として考えられるのではないかというサジェスチョンがあった。 呉越同舟の呉もあるが、日本に何の発展があったと伝えられる時代ではない。 臥薪嘗胆という熟語がよく使用されているだけである。
 千年も下って南宋の呉であろうか。 丁度五王が宋に遣使を続けていた。 しかしこの時代によって日本が相応しい発展を遂げているようではない。 むしろ直後に長年月の朝鮮利権を失っている。 三国時代の呉の事であろうか。 この時代によってこそ日本は急激に力を得、古墳文化が起こり、海外にまで派兵するようになっている。 しかし、その頃卑弥呼は一筋に魏に遣使を続けている。 ということは日本は地下組織活動について全くの無知無自覚でいたという事なのかもしれない。
 命呉れない、呉れるったらありゃしない、という言葉があるが、呉には呉の利益と都合があって、地下組織荷物の運搬人と玄人運動員を派遣したはずである。 契約相手が国家であった為に、いつまでも命呉れないの呉だけが指差され、歌い続けられているものと思われる。