孫屋敷の隣家には巡り巡って、村田さん男顔の子孫の方がいて、初陣兵士一族の流れを引く上の家の精一を軽蔑し続けてきたのであった。

 江戸時代初期の軍曹と兵士一兵卒との間柄が、ここで再現されているのである。
 兵士子孫は女性の指段階の因果を担わせられて、見事に、男を相手とする骨のない者がこれ程にまでなって人の世にいたと思えようか、と戦慄すべきスクリーン像を演じさせられ続ける。 しかし、手と指は目玉遺伝子の所為か大振りであった。 (ちなみに、郷士団は手の大きさで選び集められたのではないか、という一推理がある。)
 ブルーレット置くだけ。 結局精一は幽霊人間のままに66歳で亡くなる。 幽霊人間の主患部は口上がない所である。 幽霊人間は組織からお色直しのアクロバットをやり遂げる課題を担っていた。 それは確かに先天的に可能な事であった。 交情なし。 アラン・ドロンも噂によると、高校生と交情しなかったために人でなし、と呼びつけられたことがあったという。 「皆さんここにたった一人人間でない者がいます。」 それでアラン・ドロンは、青々とした極めつけの非情人間であり青々とした孤独のギャング役を演じ続けることになる。
 孫屋敷には扇城下士子孫の方もおられる。 村田氏と並んで顔が特大である。 ここでは帰りたくなるほど楽でなかったようである。 上の家は扇氏が住んでいた所にある。 サザエさんの先祖が元々いた所に置かれたのだという。