ワグナー再考

 その名作を町の地下溜りグループだけの労作であると書いているが、やはり地下組織女性エージェントが制作現場に出入りしていたようだという報告があった。
 確かに、大きな背景にある傑作品だったのかもしれない。
 組織はドイツを超人の国とすべく運命づけている。 カントとフッサールの超越用語。 ニーチェの優越人間の超越的生涯と言説。 ヒトラーの全人種に対するゲルマン民族の優秀性。 (エッケホモ問題はしかし超人であるべきばかりではなかったようである。 ゲーテはナポレオンを見て、ここに人間がいる、と語ったという。 トーマス・マンという著名作家の名も何かの表明であるように思われる。)
 ワグナーの名曲は、ニーチェ他と並んで、組織の目玉企画である「超人飛行篇」全体の一部を成すものである。
 (モーツァルト以後、テーマがないという、落第評価の言葉が流通していたのではなかろうか。 時にショパンチャイコフスキーも勇敢である、と語られる。 これに対応して、特別に題名音楽というものを創造しよう、と仲間内で心を合わせ目指された末の大作であったことが想像される。)