世界史企画は、その主要なる柱として宿命的に善隣主義と民主主義を孕んでいた。

 隣人を愛せよと教えるジーザスクライストと平等慈悲の仏教は、正しく世界史組織が世界に贈った最大の世界遺産であった。
 歴史の始まりは王国の始まりと一つであるが、王国は青銅器と鉄器の武器暴力と民の制圧とによって生まれたものと言えよう。
 従って国政の民主主義というものは、新たに据え置かれて初めて歴史に登場する稀なるものであった。 以後フランス革命の勃発に至るまで、王と貴族の圧政搾取の歴史の休むことはなかったのである。 民主主義の魂はその分、キリスト教と仏教の成立と世界制覇に注がれていたと考えられる。 
 宗教は世界史の創作であり、悩み多き被搾取民にその教えに接する限りの心の安らぎを与え続けて来た。 本来は、その他に何の目的もない精神活動ではなかったろうか。