そういう私なるものの収入生活を打ち明けるならば、

今すぐにもその悪魔地下組織が身辺から去るならば、二倍は金持ちになれる、というまことに馬鹿な算数関係真実を強調せざるを得ない。
 そもそも私の家は藤原氏以来の社家旧家であって、組織からは、その家屋敷田畑山林一センチ一チミリたりともいただいたものではないのである。
 殺人強盗を働いた訳でもあるまいに、かえって幽霊国民の如くの金難苦病難苦ばかり。 悪戦苦闘倹約粗食の末にわずかに残った不動産でさえ思う存分に運営できない。
 家族は皆刺殺される如くに早々と世を去り、盆正月に訪れる親類さえ消息を絶っている。