意外や、ステイ人は、否、我はジュースしている、と断ったという。

 それに答えて、藩の使いは、このままでは「敗れるぞ」と心配の言葉をかけて立ち去ったのだという。
 以上の情報を解釈すると、先ず、ジュースという生採録の言葉が異常である。 江戸時代のみちのく、山麓の神社村というスチュエーションである。
 お前はおとつい佐橋(重士)をやっている、という因縁絡みのたどたどしい日本語言葉が奥にあったのかもしれない。
 当時、佐橋グループは南部藩に深く謀反の疑いをかけられていて、加藤氏と入れ替わりに永遠に藩士の位から下されている。 ステイ人の係りに、二人の娘まで給仕人に供出させられたのが、佐橋氏第一の重臣小山田氏であった。 後者は給人の位を保っている。 
 この時には、ステイ人は病膏肓に入っていたようである。 小林一茶二宮尊徳の噂が耳に入っていたのではなかろうかという情報があった。 藩の生活費供給の心配さえ超越していたのであろう。 ジュース直結で心が決定していたのであろう。 どうせ我自ら飛び立つことはかなわない。 我の心は埜の人にあり。 我は粘土である。
 その時に口にした言葉なのであろう。 空の雲も夢さえも手で掴めりと信じをり。
 実際の飲み物として、コーヒーカマタリを飲んでいたのではないかという情報がある。 そうか、そうか、戦地での束の間のコーヒーリラックスとはこのことか。 粘土たりも、やりきれない春夏秋冬のくちゃくちゃの人肉食いも、ステイたるべき者のフェロウシップ勤務であった。 旅歩きもできない、露地四五歩、入浴できない、アカ身なり等のフェロウシップ勤務もある。
 畑打ち田打ちをしようとしても、アカが浮かぶ、とか言ってやりきれなかったという。 フェロウシップのアカがまともに農業正業に就くのか、と禁止の言葉が叱責するが如くに降りかかっていたのかもしれない。 ソクラテスが心中で聞いていたというダイモニオンそっくりである フォークの歯三本の内の一本を成している坑道から人声が届いていたのである。
 コーヒーモカには阿片が入っていたであろう。 「リラックス」 家族全員横倒し(何だかこたつに入ったまま皆寝転がっている)、という地下掛かり因縁がたまに神社村周辺の家庭に近寄っていることがある。
 藩の使いが、このままでは敗れるぞ、と言ったというのは、ステイ人が何かと争っていて遂に敗北を喫するぞ、と言ったのではなく、藩も庇いきれないぞ、罪人として打ち首になるぞ、と言ったのである。
 ところで粘土人がそんなに巧妙に打ち首働きをすることができたのであろうか。 手の先に鉤武器を付けた黒装束の魔王といったプロトタイプのようなものが、何かの背景を成すが如き出で立ちで登場することがある。 大魔神。 魔王マスク石井。 アラフォー、マント魔王の場合、ぴったりと、背後に、背後に、という構え方一つ限りの演出のものであった。 魔王! と名のるが如く、顔と出で立ちが登場するまでのテレビ画面であった。 顔を出した後何を言い歌っていたのかはさっぱり定かでない。