上の家に落ち着いてから数年、精一は勤労者となって見事に成人する。

 この頃が精一の評価点ピークの時代であった。
 影響が大きい。
 人生で一番幸せな頃、という米国映画があった。 しかしこの時本内部落で見るべきものと言えば、村会議員ともなった下の家の教養人富太郎氏で、出征中のその海兵員姿が米国方面に流布していたのではなかろうか。 正しい意味も伝えられずに、スーパーマン変身期待感が高まっていたようである。 ポパイザセーラーマンとは、報告連絡相談−ホウレンソウ口上を得さえすれば偉人になり得る、という期待点通信簿の直訳版カルトゥーン映画であった。 映画ではセーラーマンとなっているが、精一の実態は泥沼農民であり、夜の眼も寝ずの独学受験生に過ぎなかった。 教養人ではなく体力的であるところが真実に近い。 変身期待説は日本に逆輸入されて、ヘンシーンの子供向け番組がいつ果てるともなく制作され続ける。
 静かで人間の深みを感じさせる。 「我兄(上の家先代)よりももっと深い所がある。 惚れ直した。 何処家のこぼれ花だろう。」 (ハナ) 「あなたその手で何人だました」 (かとう) 口を開く前のカルミアの花のように、さすがに上の家の兄たる者の望みが膨らんできた。 その頃より登場者精一は上の家一族を統一していたという。 難儀難入。 ナギの葉だ。 (かじ家)
 英国人ルーツがあるという暗示情報に以前接していた。 TVのドキュメンタリー番組から示された本日の方角ではあるが、ジョージ5世の若き頃の写真には似通って見える所がある。