日本の一番の竜巻の発生地は伊豆の韮山であった。

 現在はどうであろうか。
 北北西方向に日本一の富士の山が聳えていて、西方には招き入れるような螺旋形を描いて駿河湾が真南から迫り接している。 確かにこのような地形は他にはあるまい。
 富士の裾野は気温差の大きい冷たい風を吹き下し、駿河湾は丁度に暖かい黒潮を伊豆の西付け根の小平地に送り寄せる。 空中において日本一の気温差が日常のように生じているに違いない。
 韮山は昔の人が、まるで昼花火のように右や左に上がる竜巻を見て付けた地名に間違いない。