ついでに情報をぶちまければ、「荒川静香」(今活躍しておられる荒川さんのことではない。) は単に静かに立ち去ったのではなかった。

 王子様に対してではなかったが、イヨーッと一度堕落男に前蹴りをくらわしたことがあったという。
 よほど痛む時であったに違いない。 しかし罰として沖縄の首里城のペイントにすりつぶされる。 この変事を因縁として日本の空手と能楽が開発される。
 空手は沖縄に置かれ、決して飛び蹴りをしない。 型は沢田研二の危険な二人のフリにも表わされているように、荒川静香のその時々の身の振り方を原点とする。 何といっても足技が貧しく短い。 
 正座というもの由来を調べたものを読んだことはないが、もしかしたら沖縄から伝えられたものではなかろうか。 被刑罰人の座し方である。 実は世界でも他に無い、日本だけの極めて特殊な日常生活の身の落着け方である。
 能舞台はスペインイベリア半島そのものを描いている。 その足運びは、静謐と幽冥の芸術的アイディアのレベルを越え、その違反を矛盾とするような根本の原理原則であるが如きである。 進み方が鈍いだけではない。 筋肉労働のムーンウォーキングでも負けずと進歩がないが、この場合は、脚は決して動いていけないと、禁じられた正座中の姿を表現したいが為の歩行のようである。 
 世界遺産の能は、イヨーッと、荒川静香の女性の反抗の雄たけびを永遠に響かせ続けている。 また、さすがに足は大きかったらしく、その足に因んだ日本の仮面楽劇名の漢字表記であったと十分に推理できる。
 そうか荒川静香は顔無しに負けて、消え失せたのではなかった。 見事に行動的な性格を発揮して後の世の人々を唸らせ続けている。