スペイン失恋事件は、室町時代の日本を蕩尽の世と化したとも伝えられている。

 日本は一時銀座の世の中であった。 中国に向かおうと国を挙げての大枚海外戦役中に、何と秀吉は、単に我には無尽蔵の金があるよと見せびらかすばかりの茶会を開いている。 金隗そのもののような金ぴか茶室。 どこから湧いた金であろうか。 京都の遺品の多くは秀吉の贅沢の跡である。
 このような時代は金が無ければ、兵数と武器数とを揃えて相手を打ち伏すことは容易でない。 金欠病は乗り遅れるしかない世の中であったのである。
 特別の王室からのご愛顧があった京都遺産であったと信ずることができようか。
 朝鮮出征中にも、我等は何だか芝居みたいに衣装を着せられて並び進んでいるようだ、というある武将の印象発言を聞かされたことがあった。