明治以後日本には何の文化もなかったが、ただ一つ歌謡だけは中味があったという括り方がある。 

 今日に至るまで、絵もない物語も詩もない独自の建築物もない思想もない。 童謡、唱歌、歌謡曲のメロディなら星空の星屑のように満ち溢れている。(ただし、柔道及び合気道の明治以後の個性的な発展には見るべきものがあった。)
 星屑の町、星のフラメンコ、星娘、見上げてごらん夜の星を、星空のステージ、星影のワルツ、星の砂、星降る町に、・・・
 すべて、仕方がないんだ君のため、と長靴酒飲みシェパードの乱暴を恥じて、どうぞメロディと差し出されたご好意と信じてよいのではなかろうか。
 あれはトマト祭りで忙しいための長靴だったのではないか。 世界初のヒット曲が坂本九のスキヤキだったというのも怪しくなる。 そして決定的な皮肉はピカソの破壊された女の顔。 ゲルマニカ。 ただしピカソ自体は無邪気であり、まじめに反戦的であったに違いない。 前座登場の日本の絵は稚拙にも平面的であれば、永遠のブランド「世界の名画」の最終の王者は平面を千切りあわせたような立体派。