山口村のような村落から歩いてきたという青年


おとなしくて特に気分の穏やかな人でなければ、結局どこかで行き違ってしまった人であると思ってもいいのではないだろうか。
そういう人でもあるというなら、自分から簡単に感情的になったのでない事情がその時あったはずであろう。
強欲に人と争って生きてきた人とは思われない。
静かできまじめな人でなければならないというのなら、疑いに何かの間違いがある可能性もあると思う。


とにかく母と別れた少年は村を出て、どういう訳かある僧院のような屋敷の中で働いていたという。
そこで、何かの事故にあってそこを去った時、喜一は痛い目にあうな、と同情的につぶやいていた人がいたという。


対称的には、何かしらのロッキー越えの謂れを背負わされる計画に連れ出されてしまったということになろうか。
そして割と、一気に短期間に人心地もなく走り過ぎ去った、ということであろうか。


生き馬の眼を抜くような仕事のできる人とは思われない。
意表を突くみたいに、珍しいくらい気持ちがスローなおとなしい人を見つけたということになる。