武蔵娘ハナ明治二十七年出生


どうしても突拍子なくて、無理に解釈されていると思われる言葉の聞き取りがあった。
音は聞こえるが、様子は全然見えていない状況から残されている資料である。


武蔵の娘、ハナが村内のすぐ目の前にある農家に嫁いだのは大正元年である。
18・9の頃である。
従って当時31歳位の一家の主婦となっていたはずである。


「ハナくる、ハナくる (ハナク?=洟食? ではなかった)
なんじょする (どうする?)」
ハナ祖母さんが嫁いだ家のすぐ裏にある小屋の中の会話であった。
面倒くさいことになるのではないかと心配した言葉であったと思う。
この、なんじょする、を、納所でする、などと悪いいたずらの意味にとって使われていたことがある。


「歌ってみろ、踊ってみろ」と言ったというのであれば、芸人を思わせる風体であったのかも知れない。