センチメートル法の実施


日本も、明治年度中早くにメートル法国際条約に参加しているが、国内的施策としては単に従来の尺貫法をメートル、グラムで基礎的に定義しただけに過ぎない。
大正十年、メートル法が成立したが、その施行は延び延びになり、戦後に及んだ。
それ以前には、小学校でどの程度のメートル法の教育があったのか。


いづれにしても、江戸時代生まれの五十、六十になる、山中の農村のおじいさん方の会話に、メートル法があるわけがない。


「四銭入れだぞ」
と、包みの意味にしか取れない。
「四センチ」などと言っていたが、よく見ると、チがなかったのであろう。
後で、「予洗」などと言っていた所である。


おじいさん方も、もともと悪戯なことのない、生真面目なお百姓さん方であったのである。
もっと素朴な対応であった。


女性は、伝統的な、肘を横に張ったカーツィで入場してきたという。
それでは余計に疑いが掛かったのである。
かなり落ち着いていた人のようである。
どうなるの、といった感じで少し笑みを浮かべ、首をかしげていたというのであるが、ここのことであろうか。
時代と地下活動にはめられた不運としかいい様のないことであるが、関係あるなしに関わらず、反省と悼みを申し上げずにはいられない。