二人の青年について


宮沢賢治の童話に、陽気な火山弾、というものが出てくる。
飄然として弾み歩くような人柄を恃まれたのかもしれない。
記憶力一番というのであるから、その誉れによって特別に指名されたものと思われる。
アンカーマンのようなことを言われて、大組織の大義でもあろうかと、心を決して応じてしまったのかもしれない。
身なりもよくないほど暮らしは楽でなかったようである。
のんきな感じの人だったのであろうが、欲張りな人ではなかったと思う。
かえって、間抜けなくらいにも人が善すぎたということはないだろうか。


子供の頃にも脚の回転が風車のように眼に止まらないくらい速いことがあったという。
そしてその足が人心地に着く暇もなく、速い駆け足で短い距離を走り抜けたということになる。
すべて、最後には、あらわにも純白の衣装を身にまとい、ただ一人、人の眼の前に現れる用意であったといえよう。