「大胆なセコハン作戦を日本国に突き立てようとしているようだ」


組織の方から、ちらちらと事件の真相の一部と加害者被害者間の理由、係りの者一人二人の情報が漏らされているようだが、冷たいばかりでなく、わざとらしくていやらしいものである。
本当の情報であっても、知らされるのはすべて氷山の一角で、地域の者同士だけで見つけさせようという作戦である。
大きな計画と設備準備が、すっかり眼に見えない海面下の山脈を成して潜んでいることによって、一切の活動があると考えるべきである。


地下殺人の場合、遺体処理室も準備よく用意されていて、滞りない後片付けのプロセスが完成されているのである。
決してその時々の事故、などということはない。
その日が決まって、案内する人、隠れて射撃をする人と、殺人の予定が組み立てられているので、起こることなのである。


ここでも三千人計画だと言う人がいた。
大きいことをしたいのであると思う。
その時々の目的や理由を抜けて、すっきりと全貌が見えてくれば、間違いのない地点に立っていることになろう。
殺人には必ず仕返しが用意されていたという。


K市サクラノ上階でそっくりさんを用意しているそうだが、作り上げる技術も百年の活動実績を成してきた既得のノウハウと長年にわたる試作実験と設備製作の上で可能なものなのである。


何とかして殺人計画を止めてもらい、そのそっくりさんに下りてもらったことがあったという。
計画通りにできないことは、ここまで迫真術のスケジュールを実行させてきた者にとって無念なことであろう。
いたずらな殺人にすぎないのであるが。
どうしても、そのそっくりさんを使いたくて、世間をびっくりさせたくて、諦めきれないであの手この手と、執念深く穴に引きずりこもうとすると思う。
必ずしも暴力で引っ張るのではない。
面白半分に、大胆な計画を担う活動員もいるものである。


Kに来て他の人に生まれ変わってしまわないよう、用心を。
他の地の似顔室、特訓場もあるであろう。