扇動者の言う通りに歴史に残る英雄偉人が現れるよう、着々と何かが、誰かの名前が、自分で何かを成したみたいに用意されているということは一切ない


神仙思想の三島、方丈、エイ州、蓬莱を四国、九州、本島とみなすことができる。
州という字ですでに多くの島々という意味がある。
エイ、という字は海を表しているようだが、本来どこまでも、とか、満ちている、とかの意味のようで、合わせて、九州一番の特徴、賑やかな西海岸の姿を表現して、島の名としたものと思われる。
古代人の想像力には必ず現実の旅人の情報が下敷きとなっていると思う。
歌枕も、現地の特徴を確実に捉えているものである。
岩手山も古歌で詠われているが、必ず谷がテーマとされる。
奥羽の路を下って来て見える、若い北上川を遮るように立ちはだかる岩手山の顕著な特徴は鬼又沢の大きなくぼみであろう。
その迫力ある大きなしゅう曲が轟然と落下する様は鞍掛山に上ると目の前にすることができた。
宮城の原の萩原も、壮大に限りあることなく、胸がつぶれるほどにだだっ広くすごいものであったはずである。