健一の素性


面白くない人もいるだろうが、健一というものの正体が黒澤明監督の名画七人の侍の旗印に掲げられている。
隠された黙示というもので利用しているだけだから、気にしなければ何もないと同じである。
六丸伸三角田、健一が噂のある山田の農家にいる、ということではないか。
十手取りだが、何か投げ物を持っていたらしい。
銭形平次の隠れモデル。
映画では石を投げている。
「おっとうとう石投げしてら」
健一が一生に一回息子に物を投げて怒ったことがある。
本棚にその痕があるほど、本気で投げたものだ。
珍しい立派なことだった。
映画などでは、伝統的に作戦的に、その者をやすめて悪く表現していることがある。
皆偉くなる運動である時、いつまでも貧乏地味では相手にしていられないということもあろう。
自分で何も名乗っているわけではないが、相手にさせられて、あれ何が偉いのだ、と馬鹿にしたくなるパターンでもあろう。