人のつら


ご主人のどこが好きで? と聞かれた西洋の女性日本文化研究者が、一言。
「Oh! Your face!」 と通訳役をしている夫に。
ご主人は特に縄文人的な雄偉な顔立ちの日本人である。
通訳して、「私の顔だそうです」
というテレピのインタヴュー放送を観たことがあった。


特に白々しい河原の流木に座って、三人娘がたぶん西洋人にインタヴューを受けたのだ思おう。
「何が好きなんだ」
恐らく西洋人は、チェコの毒を盛られた後の元大統領のような顔をしていた思う。
つら、と独りの娘が砂文字を書く。
つら見ろ、うつらねが、というこころであろう。
韓国語だと、命とも読める。
すると西洋人は、この娘は命がうまいのだな、と思ったのかもしれない。
また、麺類とも読める。
すると、うどん好きか、と記録したのかもしれない。
面食い、というのもある。
この砂原の出来事に発した慣用句かもしれない。
韓国の放送番組に、NHKののど自慢みたいな歌の競争番組があって、白い河原のような所に野外のステージを掛け、大勢集まり大変盛り上がっているようであった。
カワラヒナのように口八丁に歌い続ける少女がいたようだ。
三人娘というものの原点というべきか。


ついでに、エーンと一つうなるとその度に駄賃をもらって、子供の頃からのどの練習を積んで来たという有名な演歌女性歌手がおられるが、それは今は絶えていないチなる少年の姉の幼い時の姿を想像させる。
ひるっ子という昼の報道番組があるが、姉弟は野良の昼餉のお客をしたことがあったのであろう。
姉はエーンと歌って、弟はくるくる脚を回して、お客にしてもらったらしい。
運動、運動、五百回、速い速い、脚が速くて眼に見えなかった。
かおる君、遅くなってごめんね、花は遅かった、というのは、シンガーソングライターのデヴュー曲で、ローリングと違った激しい振りを付けて歌うスタイルの元祖となった曲ではないか。
脚を風車のように回す練習をして、ステージに立たれたのであろう。
思いっきり変わった身の振りであるが、若々しいだけに、運動神経一等賞という見栄えがあった。