探偵の基礎的な心得の一つ (Douglas, 崔)


と思われる、一昨日の、鏡に写る姿と写真に撮られている姿の違い、鏡像側のみ左右の逆転がある事の理由を確認納得するまでに、フルタイム一日の調査検討が必要であった。 
 鏡に写る景色に上下の逆転がなく、左右に反転があるということは、理屈は簡単なことでも、見る人間の側の上下軸という前提を捕らえない限り、最終的な納得に至らなかった。
 次に、写真機に撮られる陰画像までが左右逆転しているということも、すぐには説明のつかない事であった。
 網膜像と同じく上下も逆転して結ばれた像のはずである。左右上下逆転像も、結局は鏡像と同じなのである。鏡の場合上下はそのままで。しかし教われば、上下と左右の捩れそのままの写真像であった。
 このことによって、焼付け陽画の中の人間像および景観画は、機械的な偶然によって、写し撮っているそのものと同じ左右を獲得した実在として、現実世界の中に共存できているのである。