坂上田村麻呂とチャグチャグ馬っ子の蒼前神社

 蒼前神社、妙な名前である。 読めない。
 前とは漢字本来の意味から、前足のことであるらしい。
 足まで真っ白な白馬を祀っている神社ということになろう。
 平泉から北方、山際を通っていた昔道沿いに、もう一つひっそりと蒼前の名を伝えている神社が、和賀の地に残っている。 これは珍しいもので、滝沢村神社から二次的に広がっている神社名地名とは異なるものと推理されよう。 
 水沢に陸中国一ノ宮の駒形神社がある。 どこにでもありそうな名前の神社であるが、全国的にここにしかないようで、しかも祭神が不詳であると書かれている。
 蒼前、駒形、これは田村麻呂の愛馬に関わる名と推理すべきではないだろうか。 社規模が大きく、伝統が強固である。 不詳なのに格が高い。 蒼前こそその愛馬白馬の名であったろうというヒントがあった。
 田村麻呂陸奥出征前日に、天皇より白馬を賜るという文書記録があるそうであるが、間違いなくその時の下賜白馬が惜しまれているのであろう。