沢内連と同様藩の覚えがよくて、相手は先ず、村の組頭の位置に就く。

 どんなに許せなくとも、公然と打ち叩きに入ったらこちらの方が即刻打ち首獄門、一家全滅であることは目に見えている。
 歌舞伎俳優の宮本武蔵に似た若者は、ひたむきな人間であったようだ。 静かにやむことなしに戦う姿は、あたかも、悲願という字をその額に刻むがごとくであった、と何かのメモに記されてはいまいか。 
 その江戸時代の悲願の気持ちをそのまま形にして伝えているよう額の特徴を、今の西の家の子孫の方達に認めることができるようだ。 (世話になったことのあった和子さんの額を思い出した。)
 口表情に表さず、戦い続ける日々の心苦しさ。 
 銭形平次のように、しかし狭い所に身を隠しては、手を上げ丸薬を投げ続ける頑張り強さ。 (半島方面に伝わっている、手を振り上げるポーズの原点は、この銭形平次スタイルにあった。)
 後に、無駄なことはない、と豪語するほどの実績を上げるまでに巧みになっていたようである。 子供に指をくわえさせたり、やたらに指を顔に当てさせたりと、いろいろな癖付けの工夫と工作があったと推理される。 ユビキタス。 上の家由来の特徴とされることも間々あったようである。