君と高遠妻が結ばれなかった理由としては、

上の家が、慶喜公後援の薩摩仕置きという大命題の下にある家であった、ということが決定的であったと考えるべきであろう。 隣の町でもその因縁で武士団十手団が並べられているという。 日本中が薩摩人保守本流で揃えられようとしているというではないか。
 しかし用意の夫婦に子種は宿されない。
 背景が背景であるから、集落近辺では大体応援の体勢にあったものと推理される。
 大真面目に、用意された計画の続行の工夫が案じられたようである。
 わざと通勤途中の旧家に引き止めて、外泊を続けさせるような企みがあったと思われる。
 「お茶ー」 と言ってお茶係りする若い女性が登場していたようである。 (「茶母」)
 この頃は切迫していて急がれる事情があったのであろう、どこまでも追いかける、ということで本内集落の上の家を訪問しようとしたことがあったらしい。 病気見舞いということなのかもしれない。 (「クカッヂ」 という主題歌の最後の歌詞があるが、これはチャンポン語情報による誤解によるものと推理される。 真実の意味は、結ばれるまで、ということである。 女性自身の言葉でなく、周囲の係りの人が伝えた言葉なのであろう。)
 アーモンドの眼をした、「恵」 という名の、いかにも頬がフクフクとした顔形の娘さんであったようだ。
 この福娘遺伝子はこのままで終いになったのではなく、第二の分家五郎八の家を巡り、二人の実娘姉妹として上の家に座ることとなる。