組織は清己でもいい、と本当に思って上の家に据え付けたのか。

 推理であるが、清己の父親は李夫人の手を握ろうとして、山中で追いかけ、遂に夫人を落下事故に追い遣った人であったという。
 他に何の特徴取り柄のある人であったか定かでない。 本名井村でも他家の夫人を求め歩いていたと伝えられている。
 その相続者に、無意味乱暴に引きずり回されて刑務所内で水死したという父親の子供が送られてくる。 少年時の事か、可愛い美代ちゃんを家まで送ろうとして、途中野原で痛んだ脚を揉んでもらったことがあったという。 (精一の同級生であった色白の美代ちゃんは、菅善社長の奥さんとなり、後に生まれ替わった精一と再会することになる。)
 上の家の不道徳評判時代である。 二人は、不幸不運にも山中送りオオカミという共通性を抱えさせられていたようである。 発端が理不尽であり、後継がデスパラードの仲尼縁 (中耳炎‐聾唖者) という軽率な語呂合わせに落ち過ぎていて、やはり不尽に終了する幕間であったと考えるべきか。 
 始末記にふさわしい根本因が薄弱で、踏ん張れなかったのかもしれない。 また上陸者というのでは、運動の経歴の反省を全うしにくいこともあろう。