一族は前組織に眼を付けられ、運命を操られ、時々に記し語られている。

 しかし精々戦国時代からのことと推理する。
 上述の桓武天皇時代の言葉は従って、組織にとって意味不明瞭のものとして受け継がれていたのであろう。
 遥かに下って江戸時代中の事であろう、神社奉納金をくすねて一族に回していたという疑いで、担当を交替させられてしまった事があったと言われている。 その時に神社は細い坂道を降りて今の位置に移り、由来伝説も田村麻呂の名馬の岩手山祀りであることを打ち消すようにいろいろと作り話され、各地に自分こそ本家のような神社が建立され、しかし地域農民大勢の参加によって、世界に類のない涼やかで鮮やかな可愛らしいチャグチャグ馬っこという芸術品が創作されたのである。
 交替劇についても推理探偵を加えれば、世界史組織がこの場合にこそ背景にいてその異動に影響力を及ぼしていないはずはない。 その思惑は、みちのくミステリー、いやはてまでの晦冥ゲームというようなものではなかろうかと考える。