辻占


戦後何年か経った頃のことか、ハワイ辺りで、これからの悪戯の方針を決めるために、西洋人が日本からの女子学生に尋ねた。
「あれはどうかね]
「あいへで(I hate it)」 「へっ、やめて」 「ヘェジュ、always」
うーん、へ、alwaysにか。
「ヘィディ(hate it)って言ったの?」
「いや、ひでぇ、って言ったのだな」
「ひでぇ?」
「ええっと、terribly」 「びんぼう(なんだんをや、ひゃくしょうだなんて)」
うーん hideous か、そのひで、あすか。


まぁ、こんなハイカラな観光地で丈高い英米人に、天下を回すような活動の話題に取り沙汰されるたって、気持ち悪いくらい遅れて地味な山中の農家なので、つい突き放すみたいに冷たい事を言ってしまったということであろう。


大仕掛けして人の世を回している時に、その者が「びんぼう」「びんぼう」というのは、スタッフ達に利くことがあって、流行ったことがあったようである。