便という漢字を解剖する。

 なかなかのキーワードであったようであるが、そう簡単なことではない、というアドバイスもあった。
 世界史設計解明のヒントとなるべき漢字解釈である。
 本来、便とは何を意味する字形、作りであろうか。
 更とは、無使用で丸まっているようなものを、両手でビンと張り広げて、使い物にする、という意味であるらしい。 本来の字形は現在の更という字には見て取れない。 更衣、更正、更生、今更。 中国の漢字は音も極めて即物的である。 このビンと張り広げる音を、便という字が受け継いでいるのである。 (ついでに、猫はビョウあるいはミャウ、犬はケン、鶴あるいは鴻はカクあるいはコゥと鳴くがままにその字の音となる。)
 しかし、便という字は、古物を使いこなす、という本来の意味を脱皮発展しているようである。 本来の古着を張り伸ばして使いこなすということの具体的中身である、さわりなくすらりと腕が通るという意味内容こそを専門とする字となっているようである。 便利、郵便、便箋、方便、便覧、そして便通。 小便大便というのは、基本である腕がすらりと通るという意味からの一派生語グループなのである。